働き方改革 クロスアポイントメント制度の導入で産官学の連携強化

 大学の研究者が大学に在籍しつつも、企業の社員としても働く「クロスアポイントメント制度」が注目されております。大学ならではの長期的な視野を生かして、企業の研究開発に取り組み、社会的にも当該企業の存在感を高める事例が散見されます。 

 この制度は、産官学の連携を進めるために、国として2014年に枠組みが作られ、17年度にはその手引書まで作成されました。米国を見ると、年間で給与が9か月分という事例がほとんどで、3か月分を他で稼ぐスタイルが一般的のようです。ところが日本では未だ馴染みが薄いものでして、ならばドイツを見習って、実用化研究に取り組む公的機関に大学教授が兼務する形で、産学連携を深めようというスタイルがある程度受け入れられております。

 2016年度で同制度を導入した大学は76でしたが、その2年後には124大学にまで増えました。ただ、同制度を活用した教員の出向先を見ると、全体の9割超が他の大学や公的な研究機関となっております。企業への出向者は17人程度で、全体の6%に過ぎません。

 確かに日本の雇用風土として、一旦雇うと大変になるという認識があります。また解雇規制が厳しすぎるという指摘もありますので、柔軟な働き方とともに労働の流動化を促すといった面からのアプローチは今後の課題でしょう。

 優秀な研究者を必要な時期だけ雇えるこの制度。その人材は、専門性というスペシャリストとしての価値があります。新しいアイディアを仮説検証する能力を持つ人材こそ、社会を変革するイノベーターになり得ましょう。従来からゼネラリスト重視だった日本の雇用慣行を改め、スペシャリストの活用を適切に評価することが不可欠と思えます。 コロナに負けるな!