ガン治療分野における精神医学  レジリエンスによって悩みから解放

 ガンを告知されたら、自分ならどんな衝撃を覚えるでしょうか。つい先日、長年親しくお付き合いさせて頂いている知人が、ガンの放射線治療を受けました。今では死因の第一位がガンですが、この病とどう向き合っていくべきかは、全国民の共通の課題と言えましょう。

 ガンは身体だけでなく、心にも重大な影響を及ぼします。「適応障害」とは、ある社会環境においてうまく適応することができず、さまざまな心身の症状があらわれて社会生活に支障をきたす状態です。ガン患者の10~30%は、この適応障害を経験することが分かっており、またガン告知後にうつ状態になる確率も5人に1人と言われております。

 このようにガンを告知され、ショックの中で治療に臨む患者さんたちの心のケアとして、「レジリエンス」の考え方が注目されます。「レジリエンス」とは、「弾力性」や「回復力」を意味する言葉。通常、うつ病など心の負の問題を取り除く治療とは異なり、患者さんの強みなど心の健康な部分や、肯定的な生き方に焦点を当てるのが特徴です。対話を通じて、患者さんに新たな世界観を築いてもらい、残された人生をどう生きるかを考えてもらうチャンスを与えてくれます。

 現在、全国に約400カ所の「ガン診療連携拠点病院」が整備されており、緩和ケアなどで精神的なサポートを提供中です。ただ、未だレジリエンス治療を行うのは限定的で、ガン治療に精通した精神科医の育成は道半ばと言えます。今後の進展を注視していきたいと思います。 コロナに負けるな!
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