手話通訳は身近な存在 担い手確保に向け処遇改善を進めるべし

もう誰しもこの存在を知らない人はいないでしょう。手話通訳は、聴覚障害者らの意思疎通を助ける技能を持ち、例えば、テレビ番組の傍に立って、話し手の言葉に対して手指を用いて通訳してくれる場面を見る機会も多いと思います。2016年施行された「障害者差別解消法」を弾みに、民間のイベントや講演会での配置が進んできました。

この技能を持った手話通訳士は、社会福祉法人「全国手話研修センター」の全国統一試験に合格した民間資格者です。例年約100人が合格する認定試験ですが、昨年度はコロナの影響で、年1回の認定試験が中止されました。また、人材育成で重要な役割を果たす養成講習会も中止や、縮小が相次いだのです。

厚労省によると、聴覚障害や言語障害を抱える人は約34万1千人いるとのこと。一方、手話通訳士は約3800人おりますが、平均年齢は55歳以上とされ、引退時期を迎える人も少なくありません。また一人前の手話通訳士になるためには10年近くの訓練や、実務経験が必要とも言われております。今回の影響が長期化すれば、病院や行政窓口での通訳士を確保することも困難となり、ひいては聴覚障害者らが必要な情報を得られない事態ともなりましょう。

このように高度な専門性が求められるものの、他方で手話通訳士の処遇は不安定な状況です。省庁や医療機関などに直接雇用されているのは約700人程度。多くは登録派遣型で月収は13~16万円程度、副業やパートでの勤務も多いです。

申すまでもなく、手話通訳は聴覚障害者の健康や権利を守るために不可欠な存在です。国家資格化を進めて、公的な支援が得られるように国に働き掛けていかねばならないと感じております。 コロナに負けるな!