アンモニアは貴重な温暖化防止物質 火力燃料に積極的に登用すべし!
アンモニアと言うと、刺激臭のある有害物質と思われがちです。しかし、この物質は燃焼しても二酸化炭素を排出しないことから、今や「脱炭素社会」の新たな燃料としての期待が高まりつつあります。国自身、このアンモニアを水素エネルギーが普及するまでの有効な燃料として、火力発電所などを中心に導入を進めようとしております。
現時点で、直接石炭だけを燃やすのと、アンモニアを粉状にして石炭に混ぜて燃やすのとでは、二酸化炭素発生を20%程度抑えることが出来る!そんな試験データがあります。現時点でアンモニアは、工業的には「水素」と「窒素」から合成して大量生産されており、その約8割が化学肥料の原料として消費されています。
我が国では、年間約108万トンを消費し、この内約8割を国内生産、それ以外を輸入でまかなっております。したがって、アンモニアを燃料として使用していく上で、製造から輸送、供給までの技術が確立しているので、比較的低コストで早期導入が可能です。
ただ、問題がないわけではありません。そもそも、アンモニアの原料である「水素」は、天然ガスなどから生産されるのが主流で、製造時に二酸化炭素が発生します。さらに、「水素」と「窒素」を合成する際に、高温・高圧下で触媒反応させますので、大量のエネルギーが必要です。
さらに、アンモニアを燃焼する際には、大気汚染物質である「窒素酸化物」を排出しますし、天然ガスより燃えにくく燃焼も不安定、といった課題もあります。将来的に大量のアンモニアを確保することが可能なのか、その安定供給の体制作りも不可欠となりましょう。
何か新たな試みには、必ずと言っていいほど大きな壁が存在します。確かにこのような課題はありますが、アンモニアは十分な可能性を秘めた物質であることには変わりありません。近い将来、もっと身近な存在になってくれることを心待ちにしたいものですね。 コロナに負けるな!