就職内定率の誤謬 サンプルの取り方によって現実と乖離

 世の中には時折、不確かなデータが存在するのをご存知でしょうか。例えば、大学生の就職状況について、毎年定期的に報道されますね。1997年以降、厚労省と文科省がタイアップして就職内定率を割り出しておりますが、如何せん、これが実相を反映していないというから、問題と言わざるを得ません。

 過去20回以上にわたる調査の中で、2000年と2003年は、特に就職氷河期と騒がれた時期でした。しかし、その卒業時点での就職内定率は91%と93%。一方、過去の最高値は2018年と2020年でして、共に98%を記録しております。これらの数値を単純に比較した場合、氷河期と言ったところで、9割以上の学生が就職できたのか…、と思われてしまいます。

 ところが現実は「さにあらず」なのです。まず調査対象となるのは、全大学750校中の60校のみ。しかもその内訳で、国公立大が4割の25校も占めます。実際は全大学に占める国公立の割合は2割程度ですので、就職に弱い大学の状況が反映されにくい構成と言えるでしょう。

 さらに、内定率の分母にも問題があります。そもそも分母は「就職希望者」とされているので、就活終盤になりあきらめて希望を取り下げる学生も増えるし、大学側からの連絡が届かない学生も多数存在します。実際には、就職氷河期の時期において、進路未定学生は何と27%もいたことからして、このギャップが分かりますよね。

 これから一層データの存在が様々な政策立案と実行のベースになります。実際の数値を把握すること、政府は都合の良いことばかりに目を向けるのではなく、実相をしっかり把握し公表する努力を惜しんではいけません。今更ながら、他方で国会としての不十分な監視機能を正していく必要性も実感します。