目指せ!脱炭素社会③ 水素の争奪戦が始まる、安定確保に向けた戦略

20世紀初頭、ガソリン車が出回り出してから石油を握る国が覇権と繁栄を手に入れることが出来ました。そして供給地の中東は、20世紀を通じてエネルギー地政学の中心であったのです。

ところが、これからの社会の中心は化石燃料ではありません。カーボンゼロはまさにこの前提を覆すことになります。今後は、保有する地下資源の量が力の源泉ではなく、脱炭素の技術こそがその力を左右する時代となります。

我が国において、現時点の水素価格は1立方メートル当たり100円前後です。政府として、長期的視野で20円まで引き下げる戦略を掲げておりますが、電力のみならず製鉄生産に関し石炭から水素をベースにするならば、単価8円を切る必要があります。すなわち、大量の水素を安定的に確保する体制作りは、日本の将来にとって必須項目となるのです。

ご案内の通り、水素づくりには2つの方法があります。1つは、再生可能エネルギーを使って水を電気分解させて取り出す方法。そしてもう1つは、石油や石炭など化石燃料から水素を取り出し、残る二酸化炭素を回収して地中に戻したり、工業原料に再利用したりする方法です。

ただし後者の手法が確立できたとしても、日本周辺に埋めることのできる適地がどの程度あるかは、不確実な状況です。我が国内での需要を満たす水素が入手できなく、二酸化炭素を埋める場所もないならば、海外に求めるしかありません。

再生可能エネルギーの産出のため、安定した風が吹いてくれて、かつ日射量が豊富で広大な土地がある国、また二酸化炭素を埋められる地下構造を持つ国が候補となります。つまり、従来の資源国の概念とは異質の、脱炭素時代の資源国が出現することとなりましょう。

脱炭素時代にあって、既に水素の争奪戦が始まっております。日本としても、こうした資源国との関係構築はじめ、輸送ルートの安全および貿易ルールの整備など、安定確保のための資源戦略をしっかり組み立てていかねばなりません。 コロナに負けるな!