ネット通販、トラブル多発化によって、果たすべきモール主催者側の責務

コロナ禍で盛んに利用されているのが、電子商取引モールです。通常は大手IT企業が、家主としてモールを運営し、店子(たなこ)である販売事業者に場所を提供するネット通販は、私たち消費者にとってもすっかり定着しました。アマゾンの他、楽天やヤフーなどが代表的ですが、その一方でトラブルも増加しつつあり、国民生活センターに寄せられる相談件数も、昨年同月比5割以上増えているとのことです。

代表的な事例は、モールに出品される商品の問題。本物か偽物かはさることながら、質的にも劣悪なものが売り出され、騙される消費者も数多くいるとか…。ただ現状は、こうしたトラブルについて、モールを運営する会社には原則、責任は問われません。何故なら、ネット取引に関して定めている法律「特定商取引法」は、販売事業者に課す義務を中心に規定されているからです。

現行法において、例えば販売事業者に対し、登記商号や住所などの表示は義務付けられます。しかし、販売事業者が虚偽の情報を載せたとしても、モール側の責任を問うことは難しいでしょう。これでは消費者被害は後を絶たない懸念がありますので、ようやく消費者庁もモール自体を規制する法案を先の通常国会に提出しました。

こうした取引で起きたトラブルについて、モール側がどこまで責任を負うべきか、日本だけではなく世界共通の課題です。EUは既に2年ほど前から、モール側に対して販売業者に関する特定の情報を提供する義務を課しております。

モール側は単なる場所貸しだけではなく、多くの販売活動によって一定の利益を受けています。そこでの取引に責任が無いとは言えませんので、安全な取引が出来るよう十分な環境整備は、回避できない義務と言えるでしょう。 コロナに負けるな!