大災害に脆弱な通信網 固定および携帯電話が途絶するとどうなる…
東日本大震災から10年以上が経っても、被災地から遥か離れている私たちの記憶にあるのが、その時の停電と通信障害です。信号が消え、また街々のコインパークだって機能せず、預けた場所から脱する時も散々な目に遭いました。
必ず30年以内には起こるであろう南海トラフ地震。想像すらしたくないのですが、東日本大震災を上回る通信途絶が見込まれます。固定電話930万回(東日本大震災時は190万回)が不通となり、東海や四国などでは基地局の8割近くが停波する見通しです。
しかしこれは何も大地震に限ったことではありません。あの観測史上最強クラスと言われた、2019年の台風15号では、千葉県などで停電が2週間も続き、基地局約2500局が最長10日間に亘って、機能停止状態でした。
今では衛星回線がかなり普及して、自治体間での専用回線の整備率が7割にまで達しておりますが、自治体のみならず災害拠点病院などにもネットワークを広げていくできです。政府は災害拠点病院の指定要件として、衛星電話の保有を加えましたが、まだ道半ばではないでしょうか…。
各通信会社も技術力を駆使して、大災害時の通信途絶に備えるべく、「船舶型基地局」や「空飛ぶ基地局」を開発中です。特に「空飛ぶ基地局」は、太陽電池を電力源にして、上空20キロメートルの成層圏を数か月間飛び続けることを想定しております。これで、半径100キロメートルの通信をカバーできることになれば、災害時の救世主的存在となり得ましょう。
今も昔も、適切な通信手段があれば効果的な人命救助を行うことが可能です。大災害が起きれば必ず現場は混乱します。したがって、こうした通信回線の強靭化はもとより、非常時の通信手段を使いこなせる人材養成も同時に進めていくべきと思えます。 コロナに負けるな!