高校卒の早期退職を防げ! そのための高校就活と高校教育のあり方を問う
高校を卒業して就職する人は2014年以降、18万人台で推移しております。これは全卒業生の約2割に相当しますが、その中で就職後3年以内に辞める人は4割にも上ります。折角、就職したのに早い段階で辞めてしまうと、スキル(技能)の習得と蓄積が遅れてしまうのも事実。それが、ひいては賃金上昇の停滞や雇用の不安定につながり、とりわけ若年層の貧困が社会問題視される要因となります。
しかし、その実態をさらに掘り下げれば、そもそも就活の段階からのあり方に目を向けていかなければなりません。通常、職探しとなれば①求人情報の収集、②職場の見学、③応募、④内定といたプロセスを踏みます。某調査によると、これら4つが全て1社以下であった高校生は半数以上。つまり、具体的な事業内容や、仕事の中身や研修などについて、事前に調べずに入社したか、あるいは調べても入社した企業以外の情報は集めなかった高校生が、半数以上いるのです。
本来ならば、複数の会社を比較して、この会社に入ったらどのようにキャリアが積めるか、それを考えることが自分にとって重要でしょう。自ら情報を集め、就職する企業への納得感や好奇心を高めて、ミスマッチを起こさない努力が求められます。
しかし、現段階での高校生就活には、1人の生徒は原則1社しか応募できないという、「1人1社制」の慣行が存在します。一般的に、高校生の就職は地域のハローワーク経由で高校に来た求人から、教師の薦めをもとに1社を選びます。そして学校推薦によって応募が決定し、内定をもらえば原則、辞退することは出来ません。
こうした慣行が、実際的に高校生の能動的な就活を妨げていることにつながっております。最初から、「複数応募」が認められれば、生徒は自ずと様々な企業の情報を集め始めるでしょう。情報量の差が早期離職率の違いになって表れている実態は、離職者のアンケート調査でも明らかです。
当然、これは企業にとっても好ましい状況ではなく、高校生への情報提供にさらに力点を置くべきです。また、生徒が自分の進路を自分で考える力を養う「キャリア教育」も重要と思えます。やはり高校教育のあり方について、さらに政治的面から追求していく必要性を感じております。 コロナに負けるな!