独り身になって初めて気が付く、身元保証人の必要性と人生の後始末

認知症になる前後にしておくべき対策については、以前でも触れさせて頂きました。その第一は後見人制度でして、これは①法廷後見制度と②任意後見制度とに分かれます。①は、本人の判断能力が不十分になった後、家族らの申し立てに基づいて家庭裁判所が成年後見人を選任し、本人の生活を法律的に支援する仕組みです。そして②は、本人が将来に備えて、自らの意思で選び契約します。

また後見人制度よりも、家族信託という方法が便利な面もあるということも言及させて頂きました。
ところで身寄りのない高齢者が、介護施設への入所や医療機関への入院を希望する場合、身元保証人の確保が問題となります。現時点では、入所や入院時に、身元保証人の署名などを求める介護施設は95%、医療機関は65%という数値ですから、自分を保証してくれる人がいないと途方に暮れてしまうでしょう。当然、受け入れ側も緊急時や死後の対応に不安を覚えますので、受け入れたくとも受け入れることが出来ない、というジレンマを抱えます。

そこで登場するのが、死後の費用清算や入所者らの引き受けまで請け負う、「身元保証代行業」です。まずは本人と業者の間で、身元保証や財産管理を委ねる契約を結びます。しかし、この手続きが、不透明であったり、また一方的であったりするケースが相次ぎ、社会問題化しているのも事実です。

そんな中でも、希望すれば手早く契約ができる民間の代行業者を求める人は多いとのこと。確かに、このような業態は、高齢社会には欠かせないのかも知れませんが、今後、身元保証や死後の事務を目的とした公的サービスも必要と思われます。現時点では、民間業者を許可制にするなどして監督強化に努めつつ、近い将来には社会として安全網を整えていくべきでしょう。 コロナに負けるな!