様々な思いを残して終了 東京オリンピック2020が語ってくれたこと

 1年間延長でも何とか開催に漕ぎつけた東京オリンピック2020。その成果として、日本人選手の活躍ぶりは目覚まししく、金27、銀14、銅17、合計58個のメダルを獲得して幕を閉じました。これは過去最高であった、前回リオ大会の41個をはるかに凌ぐ成績です。開催直前まで関係者の辞退や解任騒ぎもあり、また開催中のコロナ感染の爆発的な広がりもありまして、主催者側としてはおちおち眠ってはいられぬ日々ではなかったかと拝察します。

 ところで今大会は、アスリート側からも多くの問題提起が出されました。それ以前に、大阪なおみ選手が全仏オープンで途中棄権した際に、うつ病を患っていることを公表し波紋を投げかけていたことは記憶に新しいでしょう。競技中に、米国体操女子の有名選手が、メンタルの不安を理由に演技を断念したことは、世界に驚きを与える一方で、各国選手から同様の告白や共感の声も相次ぎました。

 SNSによる心無い誹謗や中傷の書き込みが相次ぎ、どれほど選手たちの心身に影響を与えたのか、申し上げるまでもありません。大会中は、余計なストレスを抱えたくないと、インスタグラムをやらない選手も続出しました。

 また日本ならではの酷暑、そして蒸し暑さ。テニスやサッカー、そしてマラソンなどの屋外競技の時間帯をずらすことについて、もっと選手の立場に立って事前に組み替えれば良かったのではないでしょうか。

 オリンピックに出場して一定以上の成績を上げれば、それ以降の選手生活に相当の恩恵が加わる。そうした五輪のパワーがアスリートたちを追い詰めております。コロナ禍以前のIOC(国際オリンピック委員会)の調査でも、トップ選手の49%が睡眠障害に直面し、34%が不安や「うつ」の症状を訴えているとのこと。厳しい代表争いや、周囲の期待がストレスになり、心の不調にまで繋がっていくことは想像に難くないでしょう。

 今後IOCがアスリートに寄りそえなくなればオリンピックそのものの存続も危うくなります。選手のメンタル面へのケア、暑さを回避した開催日程、周囲からの誹謗中傷対策など、重要な課題を残した大会であったことを心に刻みつつ、抜本的な大会改革を望みます。 コロナに負けるな!