アルツハイマー新薬・本当に大丈夫? 条件付き承認の背後にあるもの

去る6月、認知症で最も多いアルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」が、米食品医療局(FDA)にて条件付きで承認されました。これは米国製薬メーカー・バイオジェンと、日本のエーザイが共同開発したものです。その際、両社の株価は連日ストップ高を記録したことが記憶にある方も多いと思われます。

私自身、専門的な知識がありませんので詳しく記すことは出来ませんが、アルツハイマー病を引き起こす原因と考えられる物質が、「アミロイドβ(Aβ)」というものです。この物質の脳内への蓄積は、アルツハイマー病を発症する10~20年前から始まるらしく、その進行過程で神経細胞が傷つき、脳が委縮して発症すると考えられています。
この新薬は、体内に異物を認識して除去する免疫の仕組みを利用し、Aβを脳内から取り除く作用をもたらす抗体医薬として登場しました。確かに今までも認知症の薬は開発されてきましたが、一時的な改善効果しかなかったようでして、この新薬により早い段階でAβを除去することで、その後の進行を抑制する効果が期待されます。ただ、認知症の進行が進んでしまえば、この新薬によって壊れた脳細胞を修復したり、低下した認知症を元に戻したりすることは出来ないとのこと。

画期的な新薬として期待されておりますが、遺伝子組み換え技術を用いた抗体医薬なので、製造コストは高額で、現時点での1回当たりの薬剤費は、何と610万円だとか…。仮に日本で新薬が承認されれば、公的医療保険の適用となり、個人の負担は抑えられるものの、我が国全体の医療保険財政を圧迫することになります。しかし医療費は増えても、その一方で介護費の抑制にもつながることになりますので、全体的なバランスを見極める必要性はあるでしょうね。
今回、FDAは「治療法のない深刻な病気の薬を早く実用化するため、迅速承認という枠組みを採用した」とあります。つまり、現段階において残念ながら、認知機能の悪化を抑制する効果が十分に確認されていない、という事実を知らなければなりません。もちろん今後、有効性を明確に示すことが出来なければ、承認だって取り消されることもあり得ます。

今後ともしっかりとした臨床試験を繰り返しながら、真実を突き止めることに尽力してもらいたいです。また、この新薬が仮に世界的に認知されても、適正な薬価や、投与対象患者をどう絞り込むかなど、アルツハイマー病治療薬の使い方についての議論を早急に進めるできではないでしょうか。 コロナに負けるな!