法人税の引き下げ競争に歯止め 適性な税率で公平な競争を!

先のG7財務省会合において、世界共通の法人税率の最低水準を15%以上にするとの声明が出されているのをご存知でしょうか?そもそも法人税率の引き下げ競争が始まったのが1980年代。当時、英国サッチャー政権が50%台から、30%台に段階的に引き下げたのを機に始まりました。

この当時、我が国の税率は50%台をキープしておりました。何しろ日本企業の国際競争力が強かったため、高い税率を維持することが可能でした。ところが、徐々に企業間の競争が激化し、海外展開が活発になると、90年代末以降、税率の引き下げを余儀なくされます。

さらに、英国が税率を下げ始めると、安倍内閣もあのアベノミクスの一環で、2011年度の約40%から2016年度までの5年間で、約30%にまで段階的に下げました。この税率引き下げについては、各企業の生産設備の投資が1.4倍に増え、国内総生産を年平均0.5%程度押し上げることに繋がったと、評価する向きがあります。しかし一方で、企業の内部留保は8年連続で増え続け、今では何と475兆円超える過去最高額を数えます。某研究所によると、企業が生んだ付加価値に占める人件費の比率である労働分配率は、2009年度~2018年度に8%も減って66%に低下したとあります。その上、2008年のリーマンショック後に、日本企業の人件費は抑え続けられ、利益の大幅増ほどは設備投資も増えませんでした。

今回のように15%の最低税率が導入されると、課税の仕組みはどう変わるのでしょう?仮に最低税率に応じない国にある海外子会社に税率5%が適用される場合でも、15%との差がある10%分の法人税を親会社のある本国で課されることになります。とりわけ法人税率の低いアジア各国において、日本企業も一定の税制優遇を受けているので、各企業の税負担が増えることになるでしょう。試算では、日本企業の税負担は3000億円程度増える計算になるとか…。

通常、企業が海外拠点を設ける理由として、①市場規模、②優秀な労働力、③税負担の軽さ、が挙げられます。税負担が増えても、すぐに企業の国内回帰は進むわけではありませんが、我が国の国際戦略として別な観点からの優遇策は不可欠となりましょう。 コロナに負けるな!