自動運転の事故を起こしてしまったら… 一体誰の責任に?

昨今痛ましい交通事故が後を絶ちません。つい先日、一昨年4月に起こった池袋の暴走事故(加害者は90歳の男性)についても、禁錮5年の実刑判決が下されました。ブレーキとアクセルの踏み間違いが原因とされ、加齢とともに注意喚起が衰えていくといった危険性が実証されたものとして、注目を集めていました。

ところで年齢には関係なく、運転するならば基本的な注意義務は怠らないことは原則中の原則です。今後、自動運転車が普及していく中、人間の能力を補完しつつ、ある意味主導してくれるものとして、AI(人工知能)が益々脚光を浴びていくのは間違いありません。

それではどこまでAIやそれを開発した側に責任を負わせることになるのか、我が国ではそのルール整備が遅れています。以前もこのブログで指摘しましたが、開発する側も、責任が不明確のままでは運転プログラムが設計しづらいし、開発も滞ると懸念します。

現時点において、自動運転車は「レベル1」から、完全に車に運転を任せる「レベル5」までの5段階に区分されます。実用化しているのは、一定条件では自動運転で、緊急時などは人間が運転する「レベル3」の段階です。道路交通法上、この「レベル3」に対して、事故時の責任やドライバーの安全義務が課せられております。

しかし、「レベル4」以上は、明確な指針や法令が無く、政府の中での検討も本格化していない状態です。これについて想定されるのは、突然目の前に出た車との衝突を避けるため、プログラムが作動して車が歩道に乗り上げて歩行者をはねてしまった場合。どのような回避行動が許されるかによって、プログラムの設計は大きく変わってくるでしょう。

米国では「レベル3」以上の運転時の責任はドライバーではなく、メーカー側にあると見なされていても大きな問題になっていないとのこと。我が国の法整備には相変わらずの縦割り行政の弊害もあり、道路交通法は警察庁、道路運送車両法は国交省、そして刑法は法務省など、異なる省庁が所管していて、議論が深まりにくい状態です。

自動運転などの開発競争が激しい分野では、イノベーションを先取りするような法整備は欠かせません。ルールの曖昧さが技術開発を遅らせることならないよう、安全性かつ倫理性の観点も含めた速やかな議論と結論が待たれます。 コロナに負けるな!