熱海における土石流 法規制がない建設残土問題

先の生々しい土石流のシーンが脳裏に焼き付いている方も多いでしょう。一度に多くの犠牲者を出してしまった、静岡県熱海市の土石流被害から早3か月が経過しました。この被害の甚大化を招いた「盛り土」の問題で、にわかに建設残土(建設発生土)の不適正処理の実態が明るみに出ました。

色々な角度から報じられておりますが、土石流の起点となった7万立方メートルを超える「盛り土」には、残土の搬入が始まった2009年以降、産業廃棄物の混入や、「盛り土」を規制する静岡県条例による高さ制限の超過といった、数々の問題点が発覚しております。

通常、建設現場から出る「建設副産物」には、建設残土のほか、有償で売却できる「金属くず」のような有価物と、「がけき」や「木くず」のような建設廃棄物があります。建設廃棄物は法律によって厳しく規制される一方で、建設残土については、建設工事で再利用できる資源とされ、規制の対象外なのです。

1997年以降、廃棄物処理法を段階的に改正し、建設廃棄物を含む産廃を排出する業者が、マニフェスト(産業廃棄物管理票)にて、収集運搬から最終処分までの工程を確認することを義務付けました。そして、その影響もあって、建設廃棄物の一部は建設資材や燃料としての再活用が進み、最終処分量も減少しております。ただし、前述したように建設残土については再利用に力点が置かれ、未だ不適正な処理については明確な法整備が進んでいないのが実態です。

残土の排出者に法的な責任が及ばない現状では、一部の排出業者が環境保全や、防災対策ではなく、料金の安さを基準に悪質な処理業者を選ぶことになりかねません。既に、残土の発生量全体の約25%が再利用されないまま建設現場の外に搬出され、この1部が不適正処理されていると見られております。

従来の成果を挙げることができた産廃規制に準じて、排出者にきちんと責任を負わせることにより、悪質な業者を締め出す仕組み作りを早急に作る必要があるのではないでしょうか。この度の災害もまさに人災として、不適正処理にメスを入れる機会にしていかねばなりません。 コロナに負けるな!