園児の送迎バス  車内放置で小さな命が奪われる…。

 何でこんな事故が起きてしまうのでしょう、しかしうっかりミスとは言えない悲惨な事例もあります。その1つとして、園児の送迎バス内に放置され熱中症で死亡する事故がありました。登園時にそのままバスに閉じ込められ、約9時間も車内に置き去りされれば、大人でも命に関わることになります。まして5歳児でしたらなおさらです。

 普通に考えれば、乗降時の人数確認や降車後の最終チェック、たとえば荷物の置忘れもあるかも知れないので、少なくとも車内を見渡すことはやるでしょう。しかしマンネリ化した業務の中で、こうしたことがおざなりになってしまったに違いありません。

 そもそも保育の時間中は、幼児何人につき保育士が何人配置しなければならない基準があります。しかし、送迎バスにはそうした配置基準はありません。何故なら、送迎中は保育や教育の時間にあたらないからです。しかし、送迎バス運行の安全基準につき、施設まかせのままで良いはずがありません。

 保護者は、送迎バスに子どもたちを乗せた時点から、施設に預けたと見なします。当然、施設側は安全対策を見直すことも必要ですが、何より国自体が安全基準を作って、自治体レベルで運営実態の確認や支援をすべきです。

 今後、少子化の影響で定員割れになる保育施設も出てくると思われます。その際に定員確保のため、遠方からも通える送迎バスの必要性はより多くなるでしょう。その一方で、現場では運転手の確保や保育士らの負担増などの課題にどう向き合っていくべきかも問われます。

 待機児童解消という大義のため、全国的に保育施設が急増しております。その分、施設間での保育や教育の質にばらつきが出てきているのも事実。2015年時点で、幼児における全治30日以上のケガ、意識不明、死亡のケースは399件だったものが、2020年には1586件にまで増えました。

 小さな命、しかも大切な命を守ることは必要最低限の使命であることに鑑み、国は送迎バスの運行中も保育時間に含め、今一度、予算確保にも尽力していかなければなりません。 コロナに負けるな!