予算の危うさPart② 国会運営における予算審議と決算審議のあり方
私自身、10年近く国政に携わってきた経験からも言えることがあります。これは何も国会に限ったことではなく、地方議会でも同様な構図となっているものとして、決算審議のあり方についてです。
通常、会社などの決算は会計年度末日から2か月以内に収支を決定して決算発表がされます。そしてそれに基づき株主総会も開催され、該当年度の配当が決まるという手順です。ごくごく当たり前の風景ですが、これが行政となると、様々な支払い業務や確定業務につき煩雑さが伴うので、それが完済するまでに相当時間を要することになります。
したがって当該年度の決算について審議できるのは、早くて年内、国会の場となると1年以上後というのが通例です。したがって、一般の企業に見られるように、前年度の収支結果が当年の経営方針に一定の影響を与えるのが当たり前と言えますが、行政運営にはほぼ決算審議の結果が当年度の予算執行に資することになるとは、到底言えないのが実態です。
欧米諸国の一部では、翌年度の予算案の審議を行う前に、過年度の決算を審議し、無駄や非効率をめぐる議論を行う例も散見されます。例えばフランスでは、予算及び決算審議を実質化する試みが見られております。すなわち、予算を立案し議論する際に、前年度の決算結果を重視するという姿勢です。
フランスにおいて、政府は決算法案につき6月1日までに下院に提出することを義務付けました。そしてそれに基づき、先ずは決算審議から入ることを旨として、そのために政策目標の実数値を、前年の決算法案添付資料に記載することを義務化したのです。今では、フランス議会が前年の決算法案を議決するまで、翌年の予算法案を審議することは出来ません。
このような事例で見られるように、いかに迅速に決算処理を行えるか否かにかかっていると言っても良いでしょう。従来から我が国において、決算をめぐる議論は希薄でして、どうしても次年度の予算への注目が高いきらいがあります。また予算委員会と言っても名ばかりで、TVで放映される際には、実質的な審議どころかスキャンダラスな話題を取り上げることが多くの野党の常とう手段になっていますよね。
与野党が対決する際には、予算の実質的な点、それが無駄遣いであったり、非効率であったり思われる場合には、政府や行政の独善に陥らないようチェックをし、正す必要があるのが野党の役目ではないでしょうか。本来の姿に立ち返るべく、今まさに政治改革を!これをモットーとして進んでいかねばなりません。 コロナに負けるな!