予算の危うさPart④ 基金事業の乱立が財政規律を危うくするぞ!

予算の策定上、どうしても事業の全体像が分かりづらく、必要額があらかじめ見込みにくい場合に、国として基金を設定して、そこにお金を積み立てていこうという手法が取られます。それは事業の形態に応じて、①基金を取り崩して補助金などを交付する「取り崩し型」、②出資金や貸付金として交付し、最終的に資金を回収する「回転型」、③債務保証などに使う「保有型」、そして④基金の運用益の範囲内で事業を行う「運用型」の大きく4つのタイプに分類されます。

国によると、2019年度までの5年間の間に存在した基金事業は合計で282件あり、そのうち約8割224件が「取り崩し型」でありました。ところで昨今、一部の新聞報道でも明らかになりましたが、この「取り崩し型」全体で約13兆円の国費が投じられたものの、その効果を検証できる192件の中で、執行率が5割未満のものが54件、うち34件は執行率3割にも満たなかったということです。

そして全体を視野に入れると、各基金の執行率は64%で、その総額は8割程度。それならば約2兆6千億円が余剰だった計算になります。国の指針からして、不要な資金は速やかに返還するように求めていますが、国庫への返納は1兆8600億円に留まり、未だ7600億円は塩漬けの状態のようです。

今まで国会でも、無駄遣いの温床としてやり玉に上がったのは特別会計の存在でした。この特別会計は、一般会計とは異なる財布でして、その運用に関して厳しい目が届きづらい弊害がありました。当時は、国有財産で不必要な事業を行ってみたり、多額の剰余金を貯め込んでムダな支出が横行したりしましので、2000年代前半に30数種類であった特別会計は、バッサリその半分に統廃合されました。

しかし、この基金事業だけは改革の目をかいくぐり乍ら、ある意味、特別会計に代わって同じような役割を演じるようになります。やれ経済対策だ、やれ危機対応だ等の名目で、各省庁は基金新設に奔走し、また監視の目を避けるため、既存の基金に新事業をぶら下げるようなことも進んでおります。

従来から政府も、財政規律の観点より厳格に抑制していくことを旨としておりますが、なかなか実現には至っておりません。そもそも基金は使途が限定される特別会計より自由度が高いので、さらに規律が緩む懸念が高まっていくことでしょう。

米国の米議会予算局や、英国の予算責任局などのような政府から独立した機関が、予算そのものの妥当性を検証する仕組みが主要国では見られます。ところが我が国の会計検査院は予算の執行状況をチェックするに留まっております。何よりあらかじめ設定した評価基準に則って、監督官庁が評価しそれに対して責任を負う体制が不可欠と思われます。
政策効果の事後検証を厳格に行える独立した機関の設置、我が国における抜本的な組織の改編をしなければなりません。 コロナに負けるな!